ターゲットは女性の営業。ACEこだわりのビジネスバッグ開発秘話

ありそうでなかった女性用ビジネスバッグ

「エルビーサック」の縦型、横型。「スタンミートート」の横型、縦型

働く女性達が普段使用しているバッグ。最近は荷物の多さやパソコンを持ち歩く人が増えているためか、リュックスタイルが増えてきました。しかし、女性に特化したビジネスバッグはまだまだ少ないのです。そんな現状に着目して日本を代表するバッグブランド、エースが動きました。ビジネスシーンカテゴリーのレーベル、「エースジーン」から2018年10月に、女性用ビジネスバッグとして2シリーズを発表したのです。

「男性向けのビジネスバッグを、女性が購入するケースも少なくありません。でもそれは選択肢がなくて買っているだけ。男性からの認知度の高いこのレーベルから発表することで、女性だけではなく男性にも注目してもらい、認知度をさらに高める狙いがあります」

そう語るのは今回のプロジェクトの仕掛け人、MD本部の南谷誠さんです。営業本部の女性4人を中心に、部署間を超えて女性を招集し、１０人のプロジェクトチームを立ち上げました。「あとはすべて女性たちに任せました」と会議でも聞き手に回り、女性中心のモノづくりを推進したのです。

メンバーのひとりでPR・広報を担当するマーケティング本部の森川泉さんは、開発背景についてこう語ります。
「誰にでも使いやすいバッグが、最も使いやすいバッグであるとは限りません。万人受けのマスマーケットではなく、コアマーケットとして外回りの多い営業担当の女性に焦点を絞りました。例えるなら、ダイバーのために開発したダイバーウォッチがヒットした展開と同じ発想です」

「太い油性ペンは必須」という営業担当の女性たちの意見を反映し、ペン差しは太めに。パソコンやアクセサリーを入れるポケットにはクッション材を入れるなど、女性目線のひと手間を随所に加えました。トートは本革よりも軽く、扱いやすいPU（ポリウレタン樹脂）合皮、リュックは耐久性の高いナイロンを採用。洋服との摩擦や引っ掛かりにも配慮した素材を厳選しています。

さらに肩に負担をかけにくく、ずり落ちにくいショルダーのカーブや、長さ調整の処理など、老舗バッグメーカーの技を生かし、〝荷物は多いけれど、バッグは小さく見せたい〞という、矛盾するけれど多くの女性が共感する想いをカタチにしていったのです。

色選びは服との合わせやすさにも配慮

とことん追求したニッチなモノづくり

女性用ビジネスバッグ開発チームの皆さん

バッグの開発には約7カ月の月日をかけました。2017年の11月、メンバーを召集する1カ月前には、働く女性819名にアンケート調査を実施。その後メンバー間で営業女性4人の意見を中心にアイデアを出し合い、街を行き交う女性のバッグを観察するなど地道な市場調査を続けたのです。調査結果を基にバッグのサイズはA4サイズ以上とし、出し入れのしやすさや荷物を入れた時のバッグの見た目、ビジネスシーンの服に調和するベーシックなカラー展開など、従来のビジネスバッグにはなかった女性目線のアイデアを注いでいきました。

そしてサンプルができると、大胆な行動に出ます。通常、新商品は展示会で発表するまで外部の目に触れられないようにしますが、使用感を確かめるべく、営業の女性が積極的に外回りで使ったのです。「マチはもう少し狭い方がスッキリ見える」、「内側のポケットの位置があと数㎝上にあるといい」など、使ってみて初めてわかる微妙な違和感を一つひとつ検討し、改良を重ねていきました。

「実際に使う営業スタッフが作り手にいることで、使い勝手から販路までリアルな声を反映することができました。とことん追求したニッチなモノづくりだからこそ、女性用ビジネスバッグとしての存在感、ニーズは大きいと思います」（森川さん）

ターゲットは作り手である自分達自身と語ってくれました。外勤や専門職の女性達に人気のバッグ形状は、1位がトートで2位がリュックとブリーフケース。そのデータに基づいて女性用ビシネストート「スタンミートート」と、女性用ビジネスリュック「エルビーサック」が生まれました。どちらもビジネスシーンにフィットするデザインと、使い込むほどに実感する機能性の高さが魅力的なバッグです。会心の出来に、開発チームの女性達の表情は明るく喜びに溢れていました。

女性用ビジネスバッグ開発チームとして、営業、デザイナー、MD、マーケティング担当者が結集。
外回りの多い営業担当者を中心に、本音トークが飛び交います

デザインは色、形、素材やファスナーの形状まで「かわいい」と「使いやすい」を両立するべく審議を重ねます

デザイン画を何度も描き、商品サンプルも実際に使って使い心地をチェック！
出し入れのしやすさやマチの深さもミリ単位で追求します

ストレスフリーな仕様で使いやすい

肩や手にかけながらでもスッと出し入れできるポケットがあったり、バッグの中を“捜索”しがちな小物の指定席が用意されていたりと、ストレスフリーな機能がいっぱいなのです。バッグの外側、内側どちらのつくりもディテールが細やかで、このバッグを使ったら他のバッグが使えなくなりそうな予感！　「エルビーサック」は2WAY仕様。リュックとしてや手持ちのバックへと変化を楽しめます。

パスケースや折り畳み傘、ペットボトルなどを肩にかけたまま取り出せるサイドポケットも便利

L字ファスナーは、リュックを下ろさなくても荷物を出し入れらくらく

クッション材入りでパソコンの持ち運びも安心

太いペン差しはリップ入れにも便利

高い位置のポケットは、スマホやパスケースの取り出しがスムーズ

Company　Data

エース
住所：東京都渋谷区神宮前
1-4-16 神宮前M-SQUARE
TEL：03-5843-0601
www.ace.jp

男性よりも荷物が多くなりがちな女性のカバン。見た目重視で選んでしまうと必要なモノが思うように入らなかったり、たくさんの資料を入れようと思うと男性っぽい見た目になってしまい、毎日使いたくなるような可愛いものがなかったりします。そんな、女性ならではの悩みを解決してくれたのが、大手カバンブランド、エースの女性達だったのです。見た目も可愛く、痒い所に手が届くような細やかな仕掛けが、働く女性の心を掴んで離しません。リュックにも手持ちにもできるのも嬉しいポイント。そんな女性中心のモノづくりは、世の中の女性たちのモチベーションを大きく変える、そんな可能性を感じるのです。