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スタイリスト・小川夢乃さんが自分らしく着こなすための服選びとは

2018/11/29

スタイリスト・小川夢乃さんが自分らしく着こなすための服選びとは

世の中のルールや流行は、あえて打破するという小川さん。他人とは違うこと、自分が納得するバランス、そこにこだわり妥協しないことで、自分らしいスタイリングが出来上がるのだという。
どんな服であっても着こなしてしまう彼女に、服選びのある法則を教えてもらった。

もの選びの法則とは一体?

シューズ用クローゼットシューズ用クローゼット内は、靴をなるべく箱のまま保管 しています。
その方が撮影場所へ持っていきやすいので。靴はきちんと手をかけ大事にしていて、
昔の靴も素晴らしい靴の修理屋さんに美しく蘇らせてもらっています

どんな服を纏っても、カテゴリーはなく、小川夢乃さんらしい着こなしにしてしまう。そこには、もの選びの審美眼と彼女ならではの法則があるから。 「この赤いワンピースは『ホームスパン』のもの。5年前、産後すぐに購入しました。授乳中は、着られる服に制限がありま す。このドレスはラップタイプなので授乳中でも大丈夫。それまで選ばなかった赤い服を手にとったのは、産後の制約ある生活の中で気合いを入れたかったのかもしれません。赤を纏うだ けで気持ちが華やかになりますから。この一着をキッカケに、赤い服が増えていきました」 赤いワンピースも小川さんらしく、〝普通に〞は着ない。 「ナチュラルな印象に転びがちなワンピース。そこは避けたいので、あえて黒い靴を合わせることが多いです。例えば、チャーチのローファーなど。私はスタイリングのどこかに緊張感が欲しいので、服がナチュラルな時はきちんとした靴を合わせてしっかり小物もつけます」 服を選ぶ時は、気分と直感に忠実に。買うか迷った時は、できる限り買う方を選ぶ。

「やらなかったことを後悔するよりも、やって失敗する方を選ぶタイプなので、これだ! と直感で感じたらなるべく買うようにしています。もちろん値段や素材をきちんと吟味した上で。ものを買う時は、デザインはもちろん、素材、着用時のシルエットは必ずチェック。そして、どんな人が作っているのかも、 私にとっては大切なこと。特にジュエリーは、お守り代わりにつけているので、作り手とその想いはとても大事」小川さんがお守り代わりにつけているというジュエリーは、「AVM」。

「『AVM』のデザイナーである古川さんは、学生時代の恩師の集まりで出会った友人です。 お話を伺い、想いがこもっているジュエリーだと知り、 27歳でスタイリストアシスタントについた時、〝信念を貫けるように〞という想いをこめて、初めてリングを買わせてもらって以来、 毎年ひとつずつ買い足していっ ています。左手には結婚指輪と婚約指輪をつけ、『AVM』は右手に。基本は受注生産なので時間がかかりますが、待っている時間もまた楽しいんです」

小川さんといえば、彼女らしい眼鏡も印象深い。 「産後に体質が変わり、コンタクトがあまり合わなくなったので眼鏡に。6年前『ANNE ET VALENTIN』の眼鏡を買い、それ以来毎年ひとつずつ買い足しています。ブランドを決めているわけではないのですが、『グローブスペックス』に眼鏡を買いに行き、色々試した結果、結局このブランドになるんです。デザイン力とエレガントさがあるところが好き」 スタイリストという仕事が天職と思えるほど洋服が好きだという小川さんは、一つひとつの服も大事に扱っている。「大学生のころ、頑張って初めて買ったマーク・ジェイコブス のヒール靴。 60年代のミニ丈のワンピースに合わせて着たいと思って買いました。数年前、若いころに買った靴をすべてメンテナンスに出して、クリーニングと底張りをしました。このヒールはもう履く機会はないかもしれませんが、今見ても綺麗だと思います。それに、いつか娘に履いてもらえるかも……と夢見て、大切にとっておいてあるんです」

ドラマティックに日常を変えてくれる服

「AVM」のジュエリー

Item-1
JEWELRY
『AVM』のジュエリー

『AVM』のジュエリーは、頼んでいたものが今朝届いたばかり。北海道で一つひとつ丁寧に作っている彼の想いがこもったリングがまた右手に増えました。ジュエリーは流行を追うのではなく、ずっと大切につけていたい。他人とはあまりかぶりたくない私にとって、受注生産で作る彼のスタイルも好き。よく考えてオーダーし、丁寧に作ってもらう時間。待っている時間を含め嬉しくなります。

アンバレンタインの眼鏡

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GLASSES
『アンバレンタイン』の眼鏡

毎年ひとつずつ買い足している『アンバレンタイン』の眼 鏡。個性的でありながらも、シャープでエレガントなとこ ろが私の好みにピッタリ。顔の印象が薄いので、ちょっと デザイン性ある眼鏡をかけているくらいがちょうどいいのかも。他のブランドもかけてみますが、かけるとぐっとく るのがこのブランド。洋服をすべてスタイリングして、最後にバランスをみながら眼鏡を決めています。

ブランド靴Item-3
SHOES
初めて買ったブランド靴

初めて買ったブランド靴が、この『マーク・ジェイコブス』。 今見ても美しいと思います。足元は大事なので、長く愛用 できる靴を。とことん妥協しないで選び、1シーズン限りで履かなくなるような靴は選びません。値段が高くても納 得できる靴を選び、周期的なメンテナンスを欠かしません。きちんと作られた靴は、何年たってもすたれず、美しさが変わらないんです。

赤色のワンピース

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RED DRESS
赤色のワンピース

右は『OTOE』で買ったヴィンテージワンピース。 中央は『イザベル・マラン』。左はどこで買ったか 覚えていないヴィンテージワンピースです。こうして並べると、赤もさまざま。ヘアスタイル、肌色、 気分によって似合う赤は違うので、必ず着てみることをおすすめします。赤いワンピースは、子どもっ ぽくならないよう、長い丈を選ぶようにしています。 気持ちを上げたい朝、手に取ることが多いかも

小川夢乃【Profile】
小川夢乃さん

1983 年生まれ。杉野服飾大学を 卒業後、ニットメーカーにてデザ イナーとして勤務。2010 年より スタイリスト椎名直子氏に師事。 2012 年独立後、ファッション誌を中心に雑誌、広告など活躍。

小川さんの服選びには、こだわりを妥協しないという大きな意思があった。やらなかったことを後悔するよりもやって後悔したほうがいいと思う、そう語る彼女の生き方こそが、自分らしく着こなせるための服選びに大きく影響していると感じた。迷ったら買う、そして買ったものはメンテナンスを欠かさない。好きなモノは長くずっと。そう語る彼女はいつだって自分らしさを忘れない素敵な女性であった。

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