料理家・川上ミホさんの「お互いの想いが溢れる」贈り物
2018/08/06
東京・中目黒に小さなレストランを構える料理家の川上ミホさん。川上さんは誰かに何かを贈るとき、まず相手のことを思い浮かべて準備をする。季節の香りや味を詰め込んだ贈り物、未来の娘に向けた贈り物など、誰かを思い浮かべながら一つひとつ想いを形にしていく。そんな素敵な時間をすこし覗かせてもらおう。
「贈り物って、お礼など感謝の気持ちや誕生日のお祝い、お中元、お歳暮など、季節のもののタイミングがあるんですけど、なんでもない時の贈り物って意外と嬉しかったりするんですよね。この間食べたイチゴが美味しかったから、それを贈りましたとか。あと、日本はやっぱり季節があるから、季節の味の贈り物とかは、すごく魅力を感じますね。その時、その季節を一緒に過ごした記憶を共有できることって、とても素敵なことだと思います。
また、私は料理の仕事をしているので、皆さん料理家に食べ物とか、キッチンツールとかプレゼントするのはハードルが高くて難しいと言われることがあります。でも、そんなことはなくて、『お家で作りました』と手作りの品をいただいたり、その人の手のかかった贈り物って嬉しいですよね。それと、私の好みを考えて贈ってくださることの他にも『コレ私がすごく大切にしているもので』とか、『大好きなものなんです』というものをいただくのも想いが伝わってきます。その人にとっていいと思っているものをいただくと、おすそ分けをいただいている気持ちになります。
最近は、娘が大きくなった時に贈るものとして調理道具を考えているんです。祖母、母共に愛用をしていて実家ではお馴染みのHALムスイの無水鍋®なんですが、シンプルでミニマムなデザインの中に魅力が詰まっているんです。この鍋で作る、豚肉とたっぷりネギの料理は実家の味。私も実際に使ってみて、『おばあちゃんの言っていたことって正しかったんだ』と実感しています。やはり昔の人って、自分の手でいろんな調理道具などを試して、本当に使いやすいものを手元に残しているんですよね。」
1. 母から娘へ、実家の味を思い出す贈り物
祖母も母も愛用するHALムスイの無水鍋®
「祖母の代から愛されてきたHALムスイの無水鍋®を見ると、ふと実家の情景が思い浮かびます。あの時こんな料理を作ってくれたな……と祖母や母の姿を思いだすことができる調理道具ってとても素敵ですよね。娘もこのお鍋を見て、私がキッチンに立つ姿を思い浮かべるときがくるのかな。」
ジューシーでやわらかい豚肉の蒸し焼きはお母さまの直伝メニュー。
HALムスイの無水鍋®だからこそできる、母の味。
2. 種類が豊富で選ぶのも楽しい、私からの贈り物
季節を感じる手ぬぐい
「手ぬぐいは、いただいたことがきっかけで私自身もプレゼントとして贈るように。絵柄もいろいろあるから、季節の柄を選んだり、その人の好きなものに合わせて選ぶのが楽しいんです。あとは、ガンガン使ってもへたれない。使い勝手が良いところはみんなに喜んでもらえます。」
3. いつか20歳になる、2歳の娘のための贈り物
未来の娘と飲む梅酒
「娘が生まれた年に漬けたアグリコールラムの梅酒。他にも日本酒とテキーラの計3本。今娘は2歳なので、まだ18年先の贈り物。20年後に一緒に飲みたいと思っています。ただ、私はお酒大好きなんですが、主人は飲まない人なので、娘はどっちかな~って思っています(笑)。」
4. 今年もこの時期が来たと楽しみになる、私からの贈り物
季節の瓶詰め
「私、調味料や瓶詰めを作るのが好きで、特に、その時の旬の味を瓶詰めにするのが好きなんです。例えばフキ味噌や、今の季節はイチゴを瓶詰めに。中でも一番人気は梅ジャム。毎年贈っていると楽しみになるようで、この季節になると、ふと思い出してくれる。その感じも好きです。」
5. 農家さんの丁寧な仕事を味わうことができる贈り物
小豆島のオリーブオイル
「これは小豆島のオリーブ農家さんからいただいたもの。自身の農園で日々一生懸命作っているオリーブオイルをお土産で持ってきてくださって。そういうのってすごく心に響きますよね。栽培されているのは堤さんという方。まるで箱入り娘をお嫁にもらった感じでした。」
普段、贈り物をする時のことを思い返すと、それは「おめでとう」というお祝いのプレゼントだったり、「ありがとう」というお礼のギフトだったりする。しかしそんなイベントがなくても、川上さんはもっと自然に贈る。四季の移ろいを感じて、ふと誰かのことを思い出して。川上さんの贈り物はいつも日常の延長にある。そんな贈り物をもらったら、思わず頬が緩んでしまうだろう。
【PROFILE】
川上ミホ
JSA認定ソムリエ、AISO認定オリーブオイルソムリエ、きき酒師、料理家。ソムリエを経て、イタリアンで腕を磨く。レシピ開発から撮影、飲食店立上げなど活躍。2014年に自身のブランド「quinto」をスタート。
写真=山田英博 文=編集部
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お歳暮やお中元といった年中行事、結婚や出産といった人生の節目、誕生日やクリスマス、無沙汰を詫びる、仕事のご挨拶、日々の感謝など、様々なシーンでわたしたちはギフトを贈る。「失敗しないように」、「わたしのお気に入りだから」、「1点もの」など、贈り物選びの考え方は様々ありますが、肝要なことは、選んだものよりも相手を思いやる気持ち。相手を思って選んだかどうかは、受け取る相手に伝わるものです。贈られたその瞬間の相手の顔を想像しながら丁寧に考え、贈るという行為は、清く尊い心の文化です。
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