大切に育ててきた器のコレクション|料理家・野口真紀さん
2018/02/26
こだわり、使いやすさ、あなたの想う理想のキッチンってなんですか?
キッチンとは、その人のスタイルやこだわり〝暮らし〞が見えるスペース。
いい器は長く使っていても飽きがこない、と野口さん。
食器棚には上質な器が並びます。
買って、失敗もして見えてきた私にしっくりくる器です
会社勤めのとき、最初に買ったものは、『クリストフル』の銀のカトラリーという野口さん。
「初任給でフォークとスプーンを買う人はあまりいない? でも洋服が好きなのと同様に、器にも目がいったんです」
子どもが生まれるまでは、骨董市や全国各地の作家さんの個展によく足を運んだのだとか。
「昔はとにかく〝ほしい〞っていう気持ちが先行して、片っ端から器を買っていました。とはいえ若くてお金もないから、ガラクタみたいなものも多く買いましたね」
野口さんがコレクションしているという上泉秀人さんの器。
針葉樹のような線の削り“しのぎ”は上泉作品として有名。
どんな料理も、きりっとおいしそうに引き立てる
20 代の頃から器が大好き。
初任給をもらったときからこつこつ集めてきたという『クリストフル』の銀のカトラリー。
どれも使い込まれ、味わい深い印象に。
野口家の食卓をずっと見守ってきた道具だ。
向かって右が和食器、左が洋食器。
普段使いの器が、扉を開けたときにひと目で見渡せるように並ぶ。
取り出しやすいように器の間隔もキープ
数多くの器を使ってみて、失敗もたくさんして、野口さんは、自分にとっていいものとはなにかを、身体で覚えていったそう。〝飽きがこなくて、壊れにくくて、料理がキマる器〞。この3つが野口さんの考えるいい器。
「条件を満たしてくれる、お気に入りの作家といえば、上泉秀人さん。私の結婚式の引き出物も上泉さん作品なんです」
野口さんは、上泉さんの器のコレクター。個展のときは、どんなに忙しくても、駆けつけるという。「上泉秀人さんは、あまり個展をなさらない方なので、個展はものすごいチャンス。
上泉さんのものであれば、今を逃したら一生手に入らないと思うから、躊躇なく買います」
野口さんの器使いは豪快で、どんないい器もがんがん使い、奥にしまい込んだりはしない。
「基本は5〜6枚のセットで買うんですが、たいてい何枚かは割れちゃいます。悲しいけれど、仕方がないこと。買い足せるものはあとから同じものをバラ買いします。あとは、家族が手伝いやすい器の置き方と並べ方にするというのも、我が家の食器棚のポイントですね」
「アラビアはイッタラに吸収されてロゴが変わったけれど、昔ながらの王冠マークが好き」
花を活けるピッチャーは辻和美さん作
忙しくても、保存食は一品ずつ違う豆皿にのせて出すと、おいしそうに。
さらに木のトレーにのせて、お酒もプラスすれば、ご主人の晩酌セットの出来上がり