2018/02/19
こだわり、使いやすさ、あなたの想う理想のキッチンってなんですか?
キッチンとは、その人のスタイルやこだわり〝暮らし〞が見えるスペース。
さまざまな方法で器の魅力を提案している恵藤さん。
私生活での器との付き合い方とは?
気に入った器って、まず自分で使ってみることでそのよさがわかるんです
「器って、展示されているものよりも、食器棚に置いてある方が魅力的に見えるんですよね」
日当たりのいい台所で、お茶の準備をしながらこう話すのは、『夏椿』の店主、恵藤文さん。
自身の店で扱う器や生活道具の多くは自分で試してみて、その使い心地や新しい使用法を日々探っているという。
だから、恵藤さんの食器棚には、これまで彼女が向き合ってきた器の軌跡のようなものが垣間見える。
好きなのは、風土を感じられる器。地方の作家さんを訪ねて出合ったものや、旅先で気に入ったもの。
その一つひとつにエピソードがあり、恵藤さんの台所でさらなるストーリーを紡ぐ。
自身の器の使い方もちょっと珍しく、恵藤さんは飯碗や汁碗など器の役割を決めていない。
その日の料理や気分によって、好きな器を食器棚から選ぶそうだ。
最近、特に気に入って使っている大嶺實清(おおみねじっせい)さん作の器。
大嶺さんは沖縄の読谷村で製陶している人で、「器自体に力強さがあって好き」と恵藤さん
台所備え付けの食器棚
「わざとお茶碗で味噌汁を飲んだりする日もあります(笑)。前に沖縄の作家さんの工房を訪ねたら、どんぶりでお茶が出てきたことがあって。その自由な発想にハッとさせられましたね。私も器の概念を破るアイデアを提案していければ」
恵藤さん曰く、器のよさは普段の生活で使ってこそわかるもの。
「贅沢品として飾るより、日々の暮らしで使ってほしい。ゴツゴツした焼きしめの器も、使い込めばしっとりツヤが出る。そういうのが器の面白さだと思います」
作家さんの器でお客様にお茶を出すのも、器の新しい魅力を知ってほしいから
年に1 度、ご主人が作るという梅酒は、小鹿田焼きの壷に入れて保存している
台所側とは反対から見た食器棚。
扉付きの棚も設置されていて、収納量はかなりのもの