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素敵なものに出合ったら、その背景を聞いてしまう|エッセイスト 柳沢小実|【親愛なる暮らしの道具】

2018/02/02

素敵なものに出合ったら、その背景を聞いてしまう|エッセイスト 柳沢小実|【親愛なる暮らしの道具】

柳沢小実さんは行く先々で出合ったものに興味が沸くと、それがどういう意味をもつものなのか、ものの背景を、扱っている人や作った本人に聞いてしまうという。
だからこそ、納得したもの選びができるのだ。

 

■SELECT POINT■
(POINT1)長く使うものは、買うまでに時間をかけてしっかりリサーチ。
(POINT2)気軽に買える消耗品は、常にいいものを求めてどんどん試す。
(POINT3)ファッションは流行に左右されずに、小物にお金を。

一生ものか、消耗品かで変わるセレクトの方法

仕事柄、家にいることが多い柳沢さんにとって、心地いい空間と家時間をつくる道具選びはとても大切。
「どれも愛用しているから選べない!」と悩みながらセレクトしてくれたアイテムは、その言葉どおり、購入にいたるストーリーや使っている理由が即座に出てくる。
だからなのか、柳沢さんのご自宅には大切に選ばれた物たちがほっと息をついているような、不思議な居心地の良さがある。
 

柳沢さんは今年9月に東京都内に家を新築し、引越したばかり。
長く住むことになる家に合わせて、ソファをはじめ、いくつかの家具や日用品、道具類を購入した。
物を選ぶときには「自分なりの基準を持っている」と話してくれた。

「たとえば大好きなアンティークの食器でも、手当たり次第なんでも買う、価値があるから買うといった買い方はしません。日常的に使いたいので〝コンディションが良くて清潔なもの〞だということが大切なんです」
 

その基準に照らして選ばれた物たちが空間にすっかり馴染むのは、当たり前といえば当たり前のことなのかもしれない。

巻くだけでコーディネートの主役になるストール%e8%ad%9f%ef%bd%b3%e8%b1%90%ef%bd%a2%e7%b8%ba%e8%bc%94%ef%bd%93%e7%b8%ba%e3%82%85%e2%97%86%e7%b9%a7%e6%b5%ac_x2_0426

 
1度買ったら長く使うことになるキッチン用品や家具は「実はあまり失敗したことがない」という柳沢さん。
その理由は、長く使うことになるからこそ慎重に慎重を重ね、スペックやサイズ感、素材など、データを徹底的にリサーチして検討するから。
できる限り、店に足を運んで実物を見ることを心がけているそう。

「実物を見られない場合でも、データをしっかり調べて決めるのが失敗しないコツです。口コミも参考になりますね。なんでも完璧なものはないから、いい評価も悪い評価も両方見ます。マイナスポイントをわかったうえで許容できるかどうかは大切なんじゃないかな」
 

ところが、文房具や化粧品などの消耗品についてはまったく逆のスタンス。
常にいい物を探して、少しでも気になったらどんどん試していくのだそう。
「消耗品は、それがいちばんいいと思っているうちはずっと使うけれど、もっといい物が出てきたら変える気満々。気軽に買える場合が多いし、そこまでコレって決めなくていいのではないかなと思っています」
 

いちばんいい物を探すといっても、ブランドや価格にこだわるというわけではない。
たとえば汚れやすい掃除グッズは、あえて安くて手軽な物を探して使うことも多いのだとか。

「高い物を買うともったいなくて使わなかったり、汚くなっても買い替える勇気が出なかったり。よく使う道具こそ、性能以上に、感じが良くて気軽に使えることが大事ですよ」
 

一方、ファッションアイテムは流行に左右されづらく、一度買えば長く使える小物にお金をかけるようにしているそう。
「最近は長く使えるなら、いい物を買ってもいいんだと思うようになりました。私の場合はそれが小物です。毎年、年間予算とシーズン予算を決めているので、予算がたくさんあるシーズン頭に、まずいい物から買っていきます」
 

高価な道具に、上質な物が多いのは確かなこと。
けれども用途や目的によっては安くてもいい物がたくさんあって、どこにお金をかけたいかも人それぞれ違う。
ものの外側にごまかされず、適材適所で、本質をしっかり見てセレクトする柳沢さんのスタンスは、等身大の〝暮らしのお手本〞ではないだろうか。_x2_0254
ソファはリラックスする場所。本を読んだり音楽を聴いたり。

1 0 年以上愛用している定番

「サンタ・マリア・ノヴェッラ」のポプリ_x2_0026

世界最古の薬局として800年の歴史を誇る「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の「テラコッタポプリポット」は玄関に。
スパイシーで上品な香りが漂う。「こういう香りはほかでは見つからない」と10年以上も愛用中。

日々のケアに欠かせない存在たち

「ウカ」、「スリー」、「キールズ」のオイル_x2_0068

手前から「ウカ」のネイルオイル「18:30」、「スリー」の頭皮用洗浄料「スキャルプ&ヘア・クレンジングオイル」「キールズ」の夜用美容オイル「ミッドナイトタニカル・コンセントレート」

巻いた時のボリューム感が素敵

「アクネ ストゥディオズ」のストール_x2_0020

「アクネ」の大判ストールは100%ヴァージンウール。
ボリューム感があり、顔映りが良いのが人気のアイテムだ。今年のシーズン頭に購入。
良質なものだからこそ「最低でも5年。ダメになるまで使い続けます」

掃除道具は手軽に使えるのが大切

「藤栄」のウールダスター L サイズ_x2_0033

約1,300 円という気軽な価格のウールダスター。
口コミでの評判が良かったので購入してみたところ、毎日の掃除にとても重宝。
「見た目がかわいいから部屋に飾っておけて、いつでもサッと使えるのがいいんです」

ネタ帳として持ち歩く

「ポスタルコ」のA 6ノートブック_x2_0017

リング式でパッと開けられ、どんなペンでも書きやすい「ポスタルコ」のノートは常にカバンに入れて持ち歩いている。
「普通のノートは持ち歩くと痛むけれど、これは外側が丈夫でそれほど痛まないのもいいですね」

ガシガシ洗えるのに大人っぽい

「ザ・ファクトリー」のシルババッグ S サイズ_x2_0019

ヴィンテージリネンとコットンでつくられた人気のシルババッグ。
「素材のわりに大人っぽくて使いやすいです。軽くて口が閉じるので、出張や旅行にも持っていきます」。
白いから、汚れても漂白できるという点もポイント。

飲みものを飲むときに使用

「オールドバカラ」のグラス_x2_0061

「オールドバカラ」をコレクションしている柳沢さん。
「昔のものはカッティングが繊細で女性的。可憐な感じがあって好きなんです」。
アンティークでも日常使いするのが基本なので、飲みものを飲むときなどに使っている。

一生コレを使うって決めた

「貝印」のキッチンばさみ_x2_0076

複数の友人に勧められて購入した「貝印」のキッチンばさみは、簡単に分解でき、食洗機にも入れられるスグレモノ。
錆や汚れの付着を防ぎ、清潔さを長く保てるのが特徴。
「もう……これしかないってぐらい気に入ってます。

ほのぼのしたつくりとゆるさが好き

5 0 0 年前のアンティークの中国食器_x2_0044

香港で購入した、清の時代のものだというアンティーク食器。
大のお気に入りで、お菓子を食べるときによく使っている。
「500年前のものだから、どうしてもつくりが甘いしゆるさがある。でも、そこがいいんです」

お洒落な浄水ポット、発見 !

「ステルトン」の浄水ポット_x2_0330

デザインが洗練されているうえ、あの「ブリタ」のカートリッジが入れられる浄水ポット。
「同じステルトンのバキュームジャグ(魔法瓶)を持っていたので、並べて置いたときにデザインが揃うのも魅力でした」

【profile】
柳沢小実
エッセイスト、整理収納アドバイザー。ファッションと美味しいものが好きで、
収納好きが高じて、整理収納アドバイザー1級の資格を取得。手間をかけずにすっきり見える収納法を日々研究中。暮らしにまつわる著書、雑誌への連載など多数。