2018/01/17
「毎日、食卓に何かしら発酵食があります」という暮らし家、塩山奈央さん。塩山さんにとって、発酵食とは?そして、”発酵食”を支える道具について伺った。
発酵食のイメージを一変する華やかな彩りで、食べるほどに元気みなぎる料理を大公開。
食欲がなくてもつい箸が進む 魅惑の発酵食
「5歳になる娘がぬか漬け好きで、マイブームがあったほど。定番のぬか漬けはニンジンやキュウリ、大根など。意外かもしれませんがズッキーニも美味しいですよ」”発酵女子”としても有名な塩山さんは、味噌やぬか漬けはお手の物。塩代わりに塩麹を愛用し、それも粒状とペースト状を作り分けるほど使いこなしている。
「もっと若い頃は洋食が好きで、フレンチなどのこってりした料理もよく食べてました。でも年齢とともに身体も変わってきて、以前のように量も食べられなくなってくると、改めて発酵食の美味しさや作る面白さに惹かれます」
妊娠中に味噌汁が無性に美味しく感じた経験も、発酵食への関心を高めたそうで、今では食卓に発酵食が並ばない日はないという。
発酵食は作るのが大変と思われがちだが、味噌や塩麹、ぬか床は、どれも材料が少なく、一度作れば何度も使えるのが魅力。
それも熟成加減で味わいも変わり、〝我が家ならではの味〞を育てる楽しさがある。
「いつもの料理に深みを与える万能調味料としても便利です」と塩山さんも活用中だ。
さらに塩山さんが工夫しているのが彩り。
発酵食というと色味の素朴な家庭料理という印象が強いけれど、塩山さんが展開する献立は、ホームパーティーに出しても喜ばれそうな〝華〞がある。
ベースは自家製味噌と塩麹、ぬか床の3種。ぬか床とチーズ、塩麹とワインなど和洋の取り合わせが驚くほど合う。
「体調が悪い時でも、色鮮やかな料理ってつい手が伸びますよね。それに私の個人的な感想ですが、発酵食は食欲がない時でもすっと身体に沁み渡る気がするんです。身体にいいから発酵食を食べるという理詰めではなく、美味しくて、身体が求めている料理を追求したら、発酵食があったという感覚です」
健康や美容のために何かをはじめるのもいいけれど、毎日の食卓を少し見直す。
無理なく食べ続けることで身体を調えていく。
そうした丁寧な暮らし方に、発酵食は優しくポンと背中を押す存在になってくれそうだ。
ル・クルーゼやストウブは日々活躍。
普段使いの調理道具は、キッチンツールバーが指定席
器はサイズが似たものを重ねて収納
“ 発酵食” を支える、わたしの道具
日々の暮らしに溶け込む発酵食は、使う道具もアイデア満載。使い勝手がいいもの、長年愛用できるものが、美味しさをサポートしています。
1.“ 用の美” に長けたものを厳選
「いろいろ試して辿り着いたもの」として愛用している道具は、どれも汎用性のあるものばかり。
「司製樽」の昔ながらの味噌樽
ハンドメイドの味噌樽は、徳島県の樽職人が手がけたもの。手仕事ならでは風合いがインテリアにも映える。現在、家族3人分の8㎏の味噌が眠る
「野田琺瑯」のぬか床美人
「琺瑯は臭いが付きにくく、ぬか床容器におすすめです」と塩山さん。野菜の漬けやすさ、ぬかの混ぜやすさなどが丁度いい「野田琺瑯」を愛用
はちみつ容器に塩麹を
ハンドミキサーでペースト状にした塩麹は、はちみつの入っていた容器に入れて使うのが塩山さん流。「残量が見えて、口が細いので分量調整がしやすいです」
2.レシピ作りの名脇役
調味料もレシピ本も、発酵食系が充実。塩山さんの料理のベースを支える本や調味料を教えてもらった。
今でも読み返す敬愛するレシピ本
『お漬け物と手作り食品・保存食』(ジャパンクッキングセンター)、塩山さんの心の師匠、林弘子さん著『秘伝発酵づくり』(晶文社)、レシピエッセイ『パリっ子の食卓』(河出書房)
美味しさを左右する発酵調味料
左から奥出雲の無農薬米使用の「みやこの料理酒」、黒酢に似た「鎮江香醋」はシュウマイや餃子に◎、日本酒とみりんの合わせ技「味の母」、無農薬米を発酵、熟成させた米酢「富士酢」