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自分らしくあるために。 心身をケアして暮らす 

2017/09/28

自分らしくあるために。 心身をケアして暮らす 

ファッションの世界から食の世界へ。子どもの頃から身体が弱かったものの、料理が大好きだった谷尻直子さんが、自らの心と身体と対話する中で踏み出していったフードプランナーの道。暮らしにおいても、仕事においても核となるキッチンが彼女の住まいの真ん中にある。

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 渋谷駅に近い住宅街の、築40年ほどになるヴィンテージマンションの最上階。家族は広島にも自宅を所有し、デュアルライフを実践。実は東京の家は賃貸住宅で、オーナーとの交渉を経て、分譲住宅と変わらないフルリノベーションを敢行した。未来の住宅ストックの在り方を考えた住まいでもあるのだ。

「空と一体となれる、開放的な空間が希望でした。心地よい風が抜けることも」と谷尻さん。外に開かれたたくさんの窓にはカーテンは付けず、雲の流れや日の移り変わりをダイレクトに感じながらレシピを考え、料理をして。家族との語らいも、仕事の打ち合わせもこの空間がベース。設計は建築家である夫、谷尻誠さん。「私がリクエストを出し、主人がハンドルを握ってくれて、作りあげていきました」

モルタルと構造用合板を用いたシンプルなアイランドキッチンの長さは、なんと5.5m。玄関に近い東側が主に調理に使うスペースで、残りがレシピをまとめたり、原稿を書いたりと多目的に作業をするスペース。ダイニングやリビングから見えない背面部には調味料や調理器具を収める収納と、食洗器をビルトインしている。大好きな映画を見るために欠かせないテレビはリビング側の一面に格納。マルチな機能を集約したキッチンが谷尻さんのステージとなる。

「壁の色を一年ぐらい前に、ブルーグリーンに変えました。デッキブラシのようなもので、バッテンを描くように、私と夫とで塗っていきました」。手の跡が残るラフさ加減が、ちょうど空間の気取りのなさともマッチしていい具合に。長く飽きずに暮らすために、インテリアは絶えず手を加えているという。

 妻として、母として、そしてひとりのプロフェッショナルとして働く谷尻さんの一日はざっと次のような感じだ。朝、息子さんが保育園に行く支度を整え、園へと送りだし、夫も事務所へ出かけたら、午前中は料理の時間。夕食の準備もこの時間に済ませてしまうそう。

 煮込み料理なら煮こむ所まで、炒め料理なら野菜を切って琺瑯バットに入れて、9割方、終えてしまいます。最後の仕上げは、息子が帰ってきてから一緒に行います。枝豆を枝から外したり、パイナップルを切ったり……ワークショップのようにワイワイとできるところは息子を参加させています。

 料理を終えたら、だいたい一日3本のアポイントを入れて、クライアントとの打ち合わせや取材の対応をする。これに、月に数日は完全予約制でオープンするレストラン「H I T O TEMA」の営業があり、また、糠漬けや金継ぎなどのワークショップも開催。多忙極まりないスケジュールだが、そんな中でも谷尻さんは、自分のリラックスタイムも忘れてはいない。

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「お気に入りは、酵素風呂。酵素ジュースを作る際にでる発酵した後の野菜や果物を活用して、ガーゼに包み入浴剤としてお風呂に入れるんです。お肌がツルツルになりますよ!」

 ほかにも香りと効用を変えたバスソルトをそろえて、その日の気分で入浴を楽しんでいる。リビングでの映画鑑賞も谷尻さんには欠かせないひととき。

「影響を受ける女性は映画の中にいて、例えば、『ナイト オンザプラネット』のウィノナ・ライダーや『夏の終わり』の満島ひかりさん。自分の道を不器用ながら自分で作り出す主人公に共感を覚えます。彼女たちの素敵なところを胸に、自分なりの目指す女性像を描きます」

 就寝は谷尻さん自身がデザインし、洋裁の得意な友人につくってもらったパジャマを着て。明日への英気を養う。