2019/01/31
寒い冬の夜には、あったかくしたお部屋の中でホッとリラックスする時間が、より一層心地よく感じられます。お気に入りのハーブティーなどをゆっくり淹れて、読書をするもよし、映画を見るもよし、おうち時間を楽しむ絶好の季節の到来です。そんな贅沢なご褒美時間に、お裁縫をはじめてみてはいかがでしょうか。今回は、東北地方に伝わる家仕事でもある“こぎん刺し”をご紹介します。東北の伝統的な刺し子である、こぎん刺し。織り目が粗い布と、針と糸があれば、すぐに始められるのが嬉しいところ。コースターに、ワンポイントのこぎん刺しを刺繍してみましょう。
こぎん刺しとは?
江戸時代にはじまり、東北地方に伝わる伝統の刺し子の一つ。藍色の布に規則正しく縫われる幾何学模様はとてもモダンで、まったく古さを感じさせません。雪深い東北地方で、麻布(あさぬの)の布目を糸でびっしり刺して保温効果を高めるための工夫として、また擦り切れやすい肩の部分の補強として刺されたのがはじまりと言われています。
目の粗い布の織り目を拾って刺していく区限刺繍とよばれる技法です。
一、三、五の奇数の縫い目からなる特徴から、幾何学の模様が生まれていきます。
古いこぎん刺しにはモドコと呼ばれる伝統模様が必ず入っています。
石畳、フクベ(瓢箪)、豆、猫の眼など生活に根差したものがモチーフになっています。
1、用意するもの
平織りの布(お好みのサイズ)
布目が読みやすいように目の粗い布を用意。こぎん用布も市販されているが、リネン糸など織り目が分かりやすい布であればOK
こぎん糸
綿100%の太くてマットな質感が特徴の、こぎん刺し用の糸。無い場合はお手持ちの太めの糸(刺繍糸など)で代用できます。
こぎん針
布目を傷つけなようにと、先端が丸くなったこぎん刺し用の太めの針です。手芸店などで入手しやすい「刺し子針」で代用しても◎。
図案見本
花びらをモチーフにした伝統の『花結び』模様に挑戦しましょう。 縫い方はそのままで、通常は1色の糸で刺すところを、2色を使って縫ってみると、『イチゴ』模様に変身します!
2、実際に『イチゴ』模様を縫ってみよう!
刺し方の基本を理解すれば、気軽に挑戦することができるのもこぎん刺しの魅力です。まずはワンポイントのモチーフから、チクチク一緒に刺してみましょう!
裏から刺し始める
こぎん刺しは、まず模様の中央の一列を右端から左に向かって刺し始めていきます。まず1針目は、布の裏側から針を刺す。
糸のちょうど半分を残す
表に針を抜いたら、下半分を縫う用に、ちょうど半分になるところまで糸を残しておく。糸の端は玉結びをせず、そのままでOK。
布目を数えながら刺していく
見本を参考にして、布の織り糸を数えながら(見本では細い線)針を刺していく。基本的なごぎん刺し模様は、布目は奇数になる(1目、3目、5目というように)。
三段目まで縫う
縫い始めの中央から、横1列が終わったら、1目減らして斜め上に移動して再び横に1列刺していく。三段目まで縫ったら、糸の色を変える。
裏返して糸止めをする
布を裏返して糸止めをする。写真のように、一段下の左端の糸の下に、布目を拾わずに糸の下に針を通して、糸止めをする。
余った糸を切る
こぎん糸は太いので、玉止めを作る必要がない。糸止めをしたらそのままハサミで切るだけでOK。自然と先端が毛羽立ってくるので糸が抜ける心配がない。
糸の色を変える
イチゴの“ヘタ”部分を作るため、緑色の糸を針に通す。糸を折り曲げて、曲がっている部分から針穴に通すと通しやすい。
再び裏から針を刺す
裏返して、赤い糸で縫った段の一段上で、右端から一目減らしたところから刺していく。
上半分が完成
布目を数えながら、三角形の頂点まで刺していったら上半分が完成。
裏返して糸止めをする
布を裏返して糸止めをする。写真のように、頂点から2列下の糸目が見えていない部分を拾う。表を返すと糸がまたがっている部分の下にちょうど隠れているのがわかる。
余った糸を切る
糸止めをしたら、先ほどと同様に糸を切ればOK。
下半分を作る
再び赤い糸を針に通して下半分を刺していく。中央の列の1列下の右端から、再び裏側から針を刺して進めていく。上半分とシンメトリーになるように、布目を数えて進めていく。
布を裏返す
布を裏返して、頂点から一段下の左端の糸の下を、布目を拾わずに通す。
糸止めをする
上半分が完成した時と同様に、写真のように、頂点から2列下の糸目が見えていない部分を拾う。
手仕事は一見難しそうに感じてしまうものが多いですが、コツややり方が分かってしまえば案外簡単で、好きなものを好きな時間に作ることができます。2019年、新しい趣味を始めてみませんか?
【profile】
kogin.net主宰
山端家昌さん
kogin.net主宰、青森県出身。弘前での高校時代に津軽こぎん刺し着物と出会い衝撃を受ける2004年からグラフィックデザイナーの視点で模様の研究・応用に取り組んでいる。現代に生きるこぎん模様を『kogin』と名付け、kogin.netを通して世界に向けこぎん模様の作品や情報を発信している。http://kogin.net/