LIFESTYLE

料理家さんに教わる、調理道具を賢くそろえてきちんとしまう工夫①

2018/03/28

料理家さんに教わる、調理道具を賢くそろえてきちんとしまう工夫①

自分に合ったものをそろえて大切に使いたい。
調理道具との上手な付き合い方を教えてもらいました。
いろいろなものを使ってきたからこそ分かる、〝自分に合う〞道具。
飛田さんの手の中に残った本当に相性の良いものとは?

手元に残ったのは好相性の道具|飛田和緒さん

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料理家の飛田和緒さんが初めて自分の台所を持ったのは18歳の頃。
当時は道具へのこだわりはほとんどなく、お母様が持たせてくれた道具と後は近所のスーパーで必要最小限のものをそろえたそう。

結婚し、料理の仕事に携わるようになると道具に対する興味が俄然湧いてきて、気になるものはどんどん試してみるように。
あの鍋がいいと聞けば買い、新しい道具を見つけたら試して。
「かなり散財しましたね」と笑う。でもそのうちに見えてきたことがあった。

「長年やっていくうちに、〝自分の料理にはどれが必要か〞というのが分かってきたんです。それまでは自分の料理スタイルが見えないまま、他人がいいと言うものを試していたから。でも私が作るのは日々の食卓に並ぶような家庭のごはん。それには特別な道具はいらないなって」

包丁とまな板と鍋があれば十分。見えてきたのはそんなシンプルなスタイル。
自分好みで自分らしい料理が作れるもの、と考えたら自然と残っていったのが今の道具だった。
見渡してみると、素材は木やアルミ、鉄やホーローのものがほとんど。

「使ったり洗ったりしているうちに、そういうものの方が長く使えるし、使っていて気持ちがいいなと感じるようになって」

大きさもポイントで、例えば包丁は、小ぶりなペティナイフが使いやすくて日々の定番に。

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「これさえあれば」という飛田さんの一軍道具。
右から『グローバル』のペティナイフ、『陶片木』で買ったまな板、
『市原平兵衛商店』の盛り付け箸、オリジナルの三角お玉、片手鍋

「大きさ、形、重さが自分に合うかどうかというのはとても大切なこと。台所には365日立つわけだから、ストレスなく料理ができて、なおかつそれを使ったら気分が乗って早く手が動くとか、千切りが楽しくなるとか、そういうことにつながるものだといいですよね」

ボウルもまな板も家族3人分の食事なら小回りのきく小さな道具が重宝する。
〝暮らしのサイズ〞に合うということも道具選びの大事なポイントだ。

「どんなにいいものでも、暮らしに合わなければ、自然と使わなくなる。だからたまにはものを点検して、一年に一回も使わなかったものは人に譲ったり処分したりするんです」

さらに、道具のしまい方にも飛田さんなりの工夫がある。

f_x6a7214短さが手に合う盛り付け箸は、
和え物や焼き物など菜箸代わりにも活用している

e_x6a7231三角っぽい形は鍋の形にきちんと沿い、深さもしっかりあるのですくいやすい三角お玉

〝相性が良い〞が そろうまでの道具選びの歴史

道具のしまい場所は細かく決めすぎると窮屈。
収納できるスペースには限りがあるからきれいに並べようとせず、各々のしまい場所だけ決めたら中はざっくりと。
使い終わったら元の場所に戻し、キッチンにはほとんどものを出しておかないようにしている。
それも「掃除が苦手だから」と理由は明快。
苦手な分、なるべく掃除しやすいように。

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土鍋はご飯が早く美味しく炊ける、雲井窯の中川一辺陶さんのものを愛用。
おひつに移せば余
分な水分がとれていっそう美味しい 

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少量の揚げ物にも便利な『ル・クルーゼ』の片手鍋はもう3代目

いいところもダメなところも全部ひっくるめて受け止めて、その中で自分に合った道具やルールを見つけ出す。

まずは自分や、自分の暮らしときちんと向き合うこと。
道具を選ぶことも、しまうことも、そこからはじまるのだと気づかされる。

はじまりは母の持たせてくれた道具

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初めてのひとり暮らしは、実家から持ってきたものと自分で買った最小限の道具でスタート。
その頃の道具で今も使っているのが、ごま好きな飛田さんにお母様が持たせてくれた小さなすり鉢。
自分の“食べたいもの”につながる道具は自然と残った。

k_x6a7274今も変わらずごま好き。
すり鉢は
思い出の品として大事に使っている

気になったら、「まず使ってみる」が基本

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料理の仕事をはじめた社会人時代は、勉強だと思って気になるものは何でも買って使ってみた。
当時流行っていた『ル・クルーゼ』の鍋もさまざまなタイプを経験。
いろんなものを使ってみたからこそ、自分に必要なものが見えてくるように。

「自分好み」 が分かってきた後の道具選び

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ここ10年程は料理スタイルや好みが確立してきて、道具選びも失敗がなくなってきた。
家電類はあまり使わず土鍋やおひつが活躍するなど、生活に合う道具が自然と手元に。
今ある道具を大事にしながらその時々で変化させていけばいいと考えている。

飛田さんの調理に欠かせない小さな相棒

泡立て器

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味噌汁の味噌を溶いたり、タレを混ぜたり、一日に何度も使うので、すぐに取り出せる場所にスタンバイ。この小ささが使いやすい。

ジャムロート

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口が広いためジャム以外にもいろいろな用途に使える。
保存食を作る際や、ザルを重ねてストック用のダシを濾すのにも活躍している。

小さなボウル

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ドレッシングや合わせ調味料を作ったり、その場で和えたり。
家族分の料理なら小さなサイズが重宝。場所をとらず、洗うのも簡単

しまい方にも、 ひと工夫。 愛着道具の収納法

木のものは風通しのいいところに。その他はすべて棚の中にしまう

基本はすべて棚の中に収納するが、よく乾かしてからしまいたい菜箸などの木のものは、使用頻度も高くて乾くのが追いつかないため出したままにしている。

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蒸篭などは風通しのいいキッチン上の棚に

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菜箸や木べらはガス台横に

包丁は一番取り出しやすい引き出しの中に

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仕事柄数が多いため専用の収納容器などは使わず、リネンを敷いた一番上の引き出しの中にまとめている。
包丁と同じく出番の多いピーラーやおろし金などの小物類も一緒に収納している。

基本の鍋はシンク下にまとめて収納

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よく使う『WESTSIDE33』と『有次』の雪平鍋、アルミの両手鍋はザルやボウルなどと一緒にシンク下の引き出しに収納。
棚には中引き出しをつけて2段にし、縦の空間を有効に活用している。

重い鋳物鍋は別の棚に重ねて

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『ル・クルーゼ』の鍋は重量があるため別の棚にまとめて収納。
取り出しやすい下側の棚に蓋を裏返して重ねている。
より出しやすくするために棚を引き出し式にしたいと現在計画中。 

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【飛田和緒】
料理家として書籍や雑誌等で活躍している。家庭で作れる簡単で美味しいレシピが人気。暮らしまわりについての文章も多数執筆。葉山にて家族3 人+1匹と暮らす

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