【暮らしのお愉しみ5】 サンドイッチをもっと美味しく!
2021/09/30
好きな野菜や肉などをはさむだけで、手軽に作れるサンドイッチ。
そんなサンドイッチをさらにおいしくする方法は、
「切る・はさむ・焼く」という、シンプルな作業に隠れています。
ここでは、ちょっとした、でも、味わいを作用するサンドイッチにまつわるコツを、
愛パン家の渡邉政子さんが伝授。
さあ、これで、いつものサンドイッチがもっとおいしくなりますよ。
サンドイッチにして美味しいパン切り方
パンにナイフを入れる瞬間は、サクッ、ふんわり、しっとり……など、パンの状態が手に伝わってくるちょっと幸せな時間。“切り方でパンが変わる”というと少し想像しづらいですが、驚くことに厚さや形の微妙な違いで、パンの楽しみ方は、大きく広がります。まずは、パンの様々な切り方を紹介します。
サンドイッチに向ているパンの厚さって?
1cmは、薄いからこそ楽しめる口どけなので、サンドイッチにしたり、何かを挟んで食べる時に便利な薄さ。とにかく口どけがなめらか。最近はパン屋さんでもお願いしないと切ってもらえない厚さでもある
1.2cmは、サンドイッチによく使われる一般的なサンドイッチの厚さ。1㎝と1.2㎝では、サンドイッチにすると4㎜も厚さに差が出るので食感や味わいが大きく変わる。
2cmは、ボリューム感が楽しめる市販のパンの6枚切りの厚さ。8枚切りトーストでは少し足りないという時に最適。ボリューム満点のサンドイッチをつくる場合にも◎
食パンのさまざまな切り方
四分割
片手で持って食べられる大きさ。パーティーやおもてなしなどの大人数の時は、ひとりがいろいろな味を楽しめるので重宝する
斜め二分割
対角線で切ると角が切りにくく、具材がはみ出ることもある。少しずらすと安定するので、たっぷり具材を入れたいときや安定しにくい軟らかい具材の時におすすめ
縦二分割
一番簡単でさまざまな具材に合う切り方。サンドイッチの場合は、具を挟んでから切るのが基本。見た目も美しく仕上がりやすい
六分割
軽食として食べる際に最適なフィンガーサンド。具材はボリュームの少ないものが◎
三角四分割
直角三角形が4つでき、盛り付けた時にきれい。小さいので持ちやすく、食べやすいのでお弁当におすすめの切り方
斜め四つ切り
斜めの切り口を上にして並べるとおしゃれな盛り付けに。先が細いので食べやすく、女性や子どもに嬉しい切り方
切り方で一気に楽しみ方が広がるサンドイッチ。人数や状況によって、同じ具材でも食パンの切り方次第で、パーティー向きやお弁当に向きなどに変化します。その際、パンの厚さに注目してみるのもおすすめ。食感や風味、味わいにどのくらい変化があるのか、知っておくとより楽しいパンライフを送れます!
具材とパンを楽しむはさみ方の工夫
いろいろな具材を“はさむ”ことができ、はさむという調理だけで立派な食事になることがパン最大の特徴。パンと具材の組み合わせは無限にあるので、楽しみは尽きることがありません。パンがもっともっと美味しくなるはさみ方のポイントを紹介します。
パラパラした具材はパンをポケットにして入れる。ひじきや肉そぼろなど、パラパラとまとまらない素材は、2等分した食パンの切り口に切り込みを入れてポケットをつくり、その中に入れるとこぼれなくて便利。子どもにも食べやすいサンドイッチなので、お弁当におすすめ。
ボリュームのある具材は薄切りパンにのせて手で折る。コロッケや白身魚のフリットなど、ごろっとしていてボリュームのあるものは、1~1.2㎝ほどの薄切り食パンに野菜などとともにのせ、手で折って挟みながら食べる。
3枚サンドには面のある薄めの具材を。2つの層で違う具材が楽しめるのが3枚サンドの魅力。きれいに仕上げるポイントは、薄切りの食パンに、なるべくポロポロしない平らな素材を挟むこと。切った時の断面を意識しながら挟むと、彩り豊かできれいに仕上がる。
美味しいパンの焼き具合を比較
具材を乗せてから焼いたり、パンを焼いてから具材をはさんだり、焼くタイミングは人それぞれ。それぞれのタイミングによって、どのようにパンの楽しみ方が変わるのかをご紹介。自分流の焼き方を見つけてみてはいかがですか?
「焼く→のせる→挟む」の場合
パンはサクサクで具材はみずみずしいままのサンドイッチに。食パンを両面焼いてから具材をのせて挟むトーストサンドは、パンの4面が焼かれることになるため、水分が飛びやすく、パンの食感はカリカリに仕上がる。具材には火が通っていないので、具材のみずみずしさをそのまま楽しめる。
「のせる→焼く→挟む」の場合
パンはサク&しっとりで、具材はアツアツ。具材をのせてから焼くと、パンは3面が焼かれることになり、上のように4面焼くより、サクサク感の中にしっとり感も味わうことができる贅沢なサンドイッチ。上との大きな違いは、具材にも直接火が通ること。具材もアツアツに仕上がる!
「のせる→挟む→焼く」の場合
外側だけがサクサクで中はパンも具もしっとり。パンに具材をのせてはさんでから焼くと、パンは2面が焼かれることになり、表面のみがサクッと、中はしっとり感が残る。具材には、直接火は当たらないが、パンにはさまれて蒸し焼きのようになるため、しっとりと仕上がる
応用編ーフランスパンでサンドイッチー
サンドイッチは、食パンだけでなく、バケットで作るとまた違った美味しさに。ペースト状の具材も、ボリュームのある具材も、相性のいいはさみ方を知っておけば、気分次第で好みの味にたどり着けます。
上下サンド
ジャムやバター、パテなど、ペースト状のものは、フランスパンを上下にカットした断面に塗ると、フランスパンならではの気泡にうまく入るのがポイント
斜めサンド
フランスパンに横から切り込みを入れ、具材を斜めに挟みこむサンド。パンは切り離していないので、きんぴらなどポロポロしたものでもこぼれず、レタスやトマトをかませるとより安定する
輪切りサンド
ジャムやバター、パテなど、ペースト状のものは、フランスパンを上下にカットした断面に塗ると、フランスパンならではの気泡にうまく入るのがポイント。輪切りに切り込みを入れ、少しずつ具材をはさむ。前菜、メイン、デザートを想定してはさめばフルコースに。写真はトマト×青ジソ× チーズ、ナス味噌×青ジソ、焼き肉× レタス × トマト、ジャム × チーズ、板チョコ!
フランスパンもはさみ方次第で、様々なアレンジが可能。おもてなしやお弁当にはさみやすい方法を知っておくだけで、写真映えするサンドイッチが手軽に作れます。
パンの楽しみ方は無限大!
いかがでしたか? 切り方やはさみ方……パンの楽しみ方はまだまだたくさんあります。みなさんもぜひ好きな具材をたっぷり詰めたオリジナルサンドを作ってみてはいかがですか?
教えてくれたのは…
渡邉政子さん(愛パン家)
元「パンの会」の主宰。「パパンがパン」シリーズ、「まさこジャム」などの著書がある。趣味のひとつが海外で自炊をしながらパン食生活をたのしむこと。一年に数回1ヶ月以上の旅に出掛けていたが、現在は実家の長野県で自粛生活。趣味ともいえる料理に専念しながら日々パンと対峙している。