2018/01/31
何年も前のこと。千駄ヶ谷にあるカフェで働いていた私は、仕事帰りに近くにある自家製シロップやグラノーラを販売しているとあるお店に通うのが楽しみでした。お店の雰囲気も店員さんも商品も全てが素敵で大好きでしたが、拠点を九州に移し残念ながら東京のお店は閉店。その直後に私も出産でしばらくは子育てに追われる日々でした。少し子育てに余裕が出てきた頃、「あのお店のあのグラノーラが食べたいなあ~。webでも注文できるけど、うーん、自分でも作れないかな~」という想いがきっかけで自家製のグラノーラを作り始めました。「まね」というとあまりいい印象ではないのですが、まねっこして作ってみるといろいろなことが見えてくる。それは、料理だけでなく子育ての時も同じ。模倣することの大切さがよくわかってきました。当たり前だけど、あの味と同じものは再現できなかったし、気がつくと、今はもうそれとは全く別物の「藤吉家の味」が出来上がっていました。九州のお店に娘と一緒に食べに行ける日を夢見ながら、自家製ココアグラノーラをいただきます。
藤吉陽子
『O-kitchen』主宰。カフェ勤務などを経て、デザイン、イラスト、工作作品を手がける夫のto-kichiと、お菓子の企画、製造、販売を行う。”ちょっぴりの幸せ”を感じられる、シンプルで丁寧なお菓子づくりを目指している