2017/09/28
「トランタン」
木々たちが色づき始め、深まる秋を彩ります。田畑では作物が黄金色に輝き、その豊かな実りに大地の力強さを感じます。旧暦の8月15日、韓国では秋夕(チュソク)という名節です。秋夕の朝には、先祖をお迎えし豊年を祝う茶礼を行います。茶礼には新米でご飯を炊き、里芋のスープを作り、リンゴや梨などの果物、栗やなつめなどの木の実など、その年に収穫された作物を取り揃えます。秋分も過ぎ、少し肌寒さを感じる頃、里芋のスープで胃腸の働きを高め、寒い冬に向けて身体を整えます。秋夕は、月が明るく輝く満月の日。日本ではちょうど仲秋の名月の日です。 韓国でも日本と同じように月にはうさぎが住み、餅つきをしていると言われています。今年は趣を変え、お月見には空を見上げ、お月さまに見立てた里芋のスープを召し上がってみませんか。
料理研究家コウ静子
料理研究家。料理研究家である母、李映林氏のアシスタントを務めたのち独立。韓国薬膳要素を取り入れた、身体に優しい料理に定評がある。雑誌や書籍、テレビ番組などで活躍中。著書に『症状別 不調の時に食べたいごはん』(家の光社)などがある。