2017/09/14
「焼ききのこと栗の菊花どんぶり」
九月九日は五節句の1つ、重陽節です。韓国の基本理念である陰陽説では九は陽の数にあたり、九が重なる九月九日を重陽と呼びます。本来は陰暦での伝統行事です。秋が深まり菊の花が咲き揃う頃で、菊のお節句でもあります。「紫式部日記」などには、菊の花の蕾に綿を被せ、菊の香りと露をしみこませて体をぬぐったという「菊の被綿」の様子が描かれていますね。菊は不老長寿の霊薬。菊の香りで邪気を払い、長寿を願うのです。網焼きにしたきのことほっくりとゆでた新栗に、さっと茹でて甘酢に漬けた菊花の甘酢を散らしてどんぶりにしました。重陽節にいただく、お酒に菊を浮かべた菊花酒を用意して、庭から聞こえる虫の音に耳を傾けながら、秋の夜長を楽しみます。
料理研究家コウ静子
料理研究家。料理研究家である母、李映林氏のアシスタントを務めたのち独立。韓国薬膳要素を取り入れた、身体に優しい料理に定評がある。雑誌や書籍、テレビ番組などで活躍中。著書に『症状別 不調の時に食べたいごはん』(家の光社)などがある。