2017/08/10
「暑気払いのサムゲタン」
サムゲタンのサム(参)は高麗人参、ゲ(鶏)は鶏肉、タン(湯)はスープの意味で、ひな鶏のおなかに高麗にんじんやなつめ、にんにく、もち米などを詰めてコトコト煮込んだスープのことです。スプーンでほぐれるほど柔らかく煮込んだ鶏肉は、具と肉をほぐしながら混ぜていただきます。サムゲタンは冬に体を温める料理と思われがちですが、実は夏にこそ良く食べられる滋養食。韓国には熱以熱治(イヨルチヨル)「熱を以て熱を治める。」という考え方があります。日本で土用の丑の日にウナギを食べるように、韓国でも夏の一番暑い伏日には体を温め、滋養のある料理を食べて夏の暑さ疲れから体を癒す習慣があるのです。伏日は旧暦の6月から7月の間の節気で、夏至から数えて3度目の庚の日を初伏(チョボッ)、4度目を中伏(チュボッ)、立秋後の最初の庚の日を末伏(マルボッ)と言います。サムゲタンは伏日にいただく滋養豊かな暑気払いのスープです。
料理研究家コウ静子
料理研究家。料理研究家である母、李映林氏のアシスタントを務めたのち独立。韓国薬膳要素を取り入れた、身体に優しい料理に定評がある。雑誌や書籍、テレビ番組などで活躍中。著書に『症状別 不調の時に食べたいごはん』(家の光社)などがある。