【暮らしのお愉しみ2】キッチン染め物に挑戦!
2021/09/30
日本で古くから親しまれている手仕事のひとつに草木染があります。
草木染とは花や草、木の根や枝など植物由来のものに含まれる自然の色を染料とし、絹やコットンなどを染める方法のこと。
今回は黒豆を染料にし、手軽にできる“キッチン染め物“を紹介します。
特別に必要な材料は、「媒染」と呼ばれる色を定着させる工程に必要なみょうばんのみ。
普段使いのキッチンクロスを、淡く優しい春の色に染め上げましょう。
黒豆でクロスを染めてみよう!
初心者でも、むらなく染めやすいおすすめの食材は黒豆。お正月のおせちのイメージが強い黒豆ですが、スーパーでは一年を通して手に入る食材です。コトコト豆を煮ながら、普段使いのキッチンクロスをきれいに染めてみましょう。キッチンクロスの色味が徐々に変わっていくのを楽しめるはずです。
必要なもの
[ 道具 ]
鍋2個(大きめのものを用意。ボウルでも可)
※ステンレスかホーロー製を使用する
ザル1個(大きめのもの)
量り
キッチンタイマー
ゴム手袋
菜箸
計量スプーン
洗剤
[ 材料 ]
キッチンクロス…2枚
(今回はリネン100%、約45×45cm、30gのものを使用)
黒豆…染める布の6、7倍の重さ
(今回は400g使用)
酢…黒豆の重さの10%
(今回は40㏄を使用)
みょうばん…染める布の重さの約10%
(今回は6gを使用)
染め方
【下準備】…400gの黒豆を6Lの水に浸け、ひと晩おく。
1.キッチンクロスを水に浸す
染める前のクロスを水に浸す。まんべんなく水分が浸透したら、軽く絞り、中性洗剤を混ぜたぬるま湯に30分ほど浸け、その後水洗いをする。
2.黒豆を煮出す
ひと晩浸けておいた黒豆と水をそのまま火にかける。沸騰したら弱めの中火にし、30分煮出す。
3.煮出したら液をこす
時間がきたら、火を止め、煮出した液をザルにこす。こした後の黒豆は、料理にぜひ展開を!
4.酢を加えて色味を変える
煮出した液をそのまま染液にしてももちろんOKだが、酢を加えて色味をアレンジするのもおすすめ。染液に酢を加えてよく混ぜる。そのままの染液を使うと、青みがかった紫色になり、酢を加えて染めると、赤みを帯びた紫に変化する。
5.キッチンクロスを染める
1のクロスを絞り、広げてから4で作った染液に浸け、15分間おく。染めムラを防ぐため、途中、菜箸などでクロスを泳がせるようにして動かす。
6.みょうばん液に浸ける
みょうばんを熱湯で溶かし、たっぷりのぬるま湯を入れた大きめのボウルに加える。5で染めたクロスをさっと水洗いし絞ったのち、広げた状態でみょうばん液に入れる。時々、菜箸などでかき混ぜながら、15分間浸けておく。
7.再び染液に浸ける
浸けたクロスをさっと水洗いして絞り、広げた状態で再び染液に浸け、5と同様に、菜箸でかき混ぜながら15分間おく。色を濃く染めたい場合は、5~7の工程を繰り返す。
8.陰干しする
染めが終わったら、しっかりと水洗いをして脱水。陰干しをしたら完成。
9.出来あがり!
5~7の工程を繰り返す回数や酢の使用の有無によって、染めの濃度をお好みで調整できる。
1.酢を加えたもの
2.酢を加えなかったもの
黒豆を使った草木染は黒豆をひと晩水に漬け、そのまま煮出して作った液の中に、中性洗剤を混ぜたお湯に30分を漬けておいたキッチンクロスを漬けるだけ。あとは黒豆を煮出した液とみょうばん液に漬けるのを繰り返せば、はっきりとした色が付いてきます。同じ材料でもお酢の有無によって自分の好みの色に仕上げられるのも楽しいところ。媒染はみょうばん以外にもアルミ・銅・鉄・チタンなどでもでき、すべて異なる色に仕上がるので、様々な媒染を試してみるのもおすすめ。煮出した後の黒豆はもちろん食べられるので、料理への展開をお忘れなく!
身近な材料が染料に変身!
“キッチン染物”の魅力は、日々の暮しでもおなじみの食材や、手に入りやすい材料を染料に活用できること。家庭菜園で採れるものや道端に生えている草木の中で、自然な風合いに仕上げることができるおすすめの材料をご紹介します。
紅茶 【ティーパックの出がらしでもOK。塩を加えるとよく染まります 】
ヨモギ 【葉と同様緑色に染まりますが、採る時期によっても色が変わるそう】
クローブ 【香りがほのかに残ります。仕上がりは黄土色や茶色】
ローズマリー 【緑がかった茶色に仕上がります】
桜の小枝 【枝は茶色でも桜の花のピンク色に染まります】
染料となる材料の見た目とは仕上がりの色味が異なるのも、草木染の面白いところ。
どんな色に仕上がるのかわくわくしながら染められます。
ご自宅で育ったローズマリーや普段は捨ててしまう紅茶の出がらしを活用してみてはいかがでしょうか。
キッチンクロスだけでなく、バックやTシャツなど、お気に入りの布を自分好みの色に染められれば、日々の暮らしにも彩りが生まれます。
教えてくれたのは…
「RIRI TEXTILE」和泉綾子さん
美術大学で染織を勉強した後、カフェ勤務などを経て、2010年より活動を開始。染めや織り、糸や布にまつわるものづくりを中心に、展示会やイベントでの作品の展示販売や、ワークショップなどを行う。
http://riritextile.wix.com/riri-textile/