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私らしく着こなす定番服 前編

2018/11/28

私らしく着こなす定番服 前編

定番とされている洋服も、使いこんだ年月や組み合わせ方次第で、着こなし方は大きく変化してきます。今回は、リーバイスのヴィンテージデニム、マーガレットハウエルのリラックスドシャツ、オオシマレイのスウェットシャツを3点をご紹介。様々な分野で活躍しているおしゃれな方、それぞれに聞いてみえてきた定番服の魅力とは一体。

古着×ブランド品のギャップコーデ 小島令子さん

小島令子さん

ボトムがタイトな分、トップスは身体を包み込むゆるっとしたローゲージニットでバランスをとって。
首元を少し下げて、タンクトップと肩のラインを見せるなどゆるっとしたラインに

手持ちのボトムはほぼデニムという小島さんが惚れ込むリーバイスのヴィンテージ。中でもフレア好きで「684」の他に「646」や「517」など各モデルをサイズ違いで揃えるほど。「背が低いのでスタイルUPは永遠のテーマ。緩急があるシルエットは脚をきれいに見せてくれます。自分なりにベストなカットオフしたり、自分仕様にカスタムできる楽しさも。経年変化も魅力」 小島さんがデニムを好きになった原体験は中学生の頃。アメカジ系のショップにいた女性スタッフの装いだった。「彼女はいつもアメリカ製のリーバイスデニムに足元はコンバース、そして頭にはバンダナ。トップスが変わっても、他は決まって同じアイテムで、それが本当に似合っていました。彼女の影響で、〝自分のスタイルを持つのは格好良い〞ということを知ったんです」 それ以降は自分の琴線に触れる古着を探す日々。大人になりアパレル店で働き始めると今度は、古着×ハイブランドといったMIXコーデが周囲から好評を博すように 。「例えブランドでも、選ぶのは刺繍やミリタリーなど古着がルーツのもの。好きなものはこれまでも、これからも変わりません。

リーバイスデニム

リーバイス社から1969 年に発売されたモデル。ベトナム反戦運動を代表する当時のフラワームーブメントを支持する若者のアイコンとして知られている。通称“ビッグベル”とも呼ばれるフレアシルエットが特徴。1960年代のリーバイス「684」はフルレングスだとかなり攻めたベルボトム。そのままだとクセが強いので、カジュアルに着るためにセルフでカットオフを施したそう。足首がきれいに見える8分丈にすることで女性らしいパーツをナチュラルに露出できます。また経年変化のダメージのおかげでヘルシー&セクシーな印象に。緩急あるシルエットと経年変化によるダメージは唯一無二だ。デニムコレクターでもある小島さん曰く「着古してボロボロになった時のクタっとした生地感、味のある色落ちはデニムメーカーの中でもリーバイスが1番」だそう。

リーバイスデニム
太ももはタイトで膝下はフレアと、緩急あるシルエットは脚をキレイに見せてくれる。
絶妙な色落ちがラフ&リラックス感を後押し

 

小島令子さん

「インパクティスケリー」デザイナーを経て、現在はフリーランスで大手アパレル企業のディレクションなどを手掛ける。

シャツ×きれいめパンツ 鈴木コンスタンス静さん

鈴木コンスタンス静シンプルなカラーやデザインでまとめたベーシックスタイルと思いつつ、
胸元の肌見せやタックインなど、ところどころで粋なバランスが光るコーディネート

「シャツ一枚で着る場合は、脚のシルエットをきれいに見せてくれるハイウエストのテーパードで洗練された印象にまとめたり、カジュアルなデニムとも相性抜群。少し崩して着ることがこなれ感のポイントになります。ゆるめのタートルネックと重ねて、襟や裾をチラッと見せたり、スカートを合わせてみても素敵です。シャツは主役にもサポート役にもなれる万能アイテムです」

昔からヴィンテージやマニッシュなものが好きだという鈴木さん。『マーガレット・ハウエル』の服にも伝統や継承される技術に敬意を持つ一面を感じるそう。「『マーガレット・ハウエル』の服というと、シンプルで上質なイメージは皆さんあると思うんです。けれど、着てみるとその印象が一変。細部までスタイル設計されているので、自分が女性であるという自信を服が持たせてくれます」。今年の秋冬はシャツの他にも、アイルランドのドニゴール地方で作ったネップの糸が入ったドネガルウールを使用したニット。メン ズのシティコートをベースに作ったコートや、ハリスツイードのジャケットなど、クラシカルな要素をモダンにアレンジしたコレクションが展開されている そう。

自らの身体をきれいに見せてくれるデザインを身につけると自信にも繋がる。
メンズライクな印象のシンプルシャツは、スラっとしたフォルムでカッコよく着こなすのが気分。
パンツ39,000円、シューズ19,000円

マーガレットハウエル

『マーガレット・ハウエル』のパジャマに定番で使われているコットンカシミアを、ウェアのラインで採用。この素材ならではの柔らかさで心地よいシャツに。厳選された手摘みのコットンを使用。ホルマリンは一切使わず、素材作りの環境からこだわっている。着崩しても滑らかに身体に沿い、美しいラインに仕上げる優秀シャツ。柔らかい肌触りだけでなく、身体に沿うように流れる服のシワさえも女性らしさを演出してくれるコットンカシミアのシャツ。「メンズライクなデザインと女性らしい柔らかい素材感が絶妙なバランス。女性がメンズウェアをそのまま着ると肩が落ちてしまったり、シルエットが崩れがち。けれどこのシャツは、『マーガ レット・ハウエル』のマニッシュスタイルを継承しつつ、美しい佇まいに仕上げてくれます」。メンズライクなものを女性が着ることで、その中から生まれるジェンダーレスな世界感が魅力的なコーディネート

マーガレットハウエルシャツ

ブランドらしいマニッシュなカッティングを生地選びや肩まわりの作りで女性の身体に馴染むように。
色味は季節感のある、黄みがかった柔らかいオフホワイト

スニーカー

ロールアップでキレイめスタイルに抜け感をきれいにまとまりすぎないよう、
足元はロールアップして足元や手元でスニーカーをプラス。 
カジュアルさをプラスシャツは軽くまくることでワークスタイルっぽい着こなし

 

鈴木コンスタンス静さん

『マーガレット・ハウエル』PR。
昔からヴィンテージやメンズライクのものを好み、20代後半から同ブランドへの憧れを持ちプレスに。

スウェットシャツ×シルクパンツ 大島れいさん

大島れい

オオシマレイのスウェットトップス、オ オシマレイのスウェードタッチ加工を施したシルクのパンツ。
レモン色のアメリカ製のオールスターで差し色をプラス

核となるテーマは変わらないけれど、若い頃に比べると40代は、「何をどう着るか」を意識していると語る大島さん。
「アメカジを通ってきたので、スウェットやデニムは私にとってスタンダードアイテム。だからといって進化がないのは避けたくて。常に新鮮に見えるように、その時代の空気を内包したデザインを身につけていたい」。

披露してくれたスウェットも、まさに今というアイテム。
「デザインソースはヴィンテージですが、細かい部分はモディファイしています。動きやすさだったり着心地の良さといった実用性は大切ですが、女性としては見た目の美しさも外せない。 焼き直しつつオリジナリティを 出す、というのが服作りを行う上でのテーマです」。その言葉通り、このスウェットはいたるところにアレンジが利いている。 腰位置が高く見えるショート丈、腕のリブを少し上げることで袖のボリュームはよりドラマティックに。「組み合わせも大切。ザ・カジュアルなアイテムにラグジュアリーな素材のパンツを合わせたり。アクセで輝きを足したり。全体的なバランスを見ながらおしゃれを楽しんでいます」

オオシマレイ

1960年代、スポーツウエアとして誕生したチャンピオン社のリバースウィーブ。伸縮性に富むリブにより運動性が向上しノーストレスで着用できることから大ヒットした。このリバースウィーブにインスパイアされ、現代風にアレンジされたのがオオシマレイのスウェット。気負わず、ラフすぎず。計算しつくされた大人のための1着。スポーティーさはありつつ、カジュアルにもモードにも着られる汎用性の高さ。

「このスウェットの“応用力”の理由はシルエットに隠されています。身幅は大きく丈は短めに」。
肩が自然に落ちるドロップショルダーなのでボリュームのある袖でも重すぎない。加えて、製法やディテールへのこだわりも見逃せない。白が混じったような“杢グレー”と呼ばれる色に近づけるため、生地を編み立てた後にブリーチ加工をして色を抜き、裏起毛加工を施しているそう。こうすることでヴィンテージの風合いを再現している。ボトムはあえてドレッシーなシルク素材のアイテムをチョイス。タック入りで美シルエットでシルク特有のとろみ感はこの上なく上品。ワンランク上のカジュアルコーデだ。

オオシマレイのスウェットシャツ

部分によって、肌が触れる面に凹凸が出ないよう、
縫い目をフラットにするフラットシーマという特別なミシンで縫製しているため、着心地も素晴らしい

アクセサリー

その日の装いによって アクセサリーをセレクト
服がシンプルな分、アクセサリーはマストアイテム。
ブレスレットにピアス、リングは重ねづけしてそのバランスを楽しんでいるそう

 

 

大島れいさん

企業デザイナーを経た後、2002 年にヘンプ素材を中心としたオリジナルブランド「KIN」、
2006年には「OSHIMA REI」を始動させる。

三者三様の着こなし方いかがでしたか? あえてダメージがつくまで着古したり、カジュアルなスニーカーと合わせたり、ハードな小物をつけてみることで、それぞれの個性が上手に表現されていましたね。定番の服だからこそ、自分の個性をどこでどう生かすのかが試される難しさもあるかもしれませんが、ほんの少しのアクセントでワンランク上のおしゃれを楽しむことができるのです。