気になるあの人が働く現場におじゃましました!
2018/10/22
働き方は人それぞれ、十人十色。ワークライフバランスや働き方改革が叫ばれる中、派遣、正社員、管理職、転職、副業、キャリア採用など「仕事」にまつわるキーワードが飛び交っている現代。一見、華やかに見える仕事も実は過酷であったり地味だったり。そのような中でも仕事や育児、プライベートを両立させて楽しそうに働いている人もいます。もしかしたらそれは、男性より女性の方が多いかもしれません。気になるあの人はどんな職場で、どう働いているのでしょうか? 会社という場所に限らず、さまざまな環境で活躍している理由は? 今回は4人の女性の働く現場を調査して、それを記事にしてみました。
グラフィックデザイナー 杉本雅代さん
様々な分野の仕事で幅広く活躍する杉本さん。どの仕事に対しても、彼女らしく自然体で真摯に取り組む。世界が広がっていったキッカケとは?
ご縁や気持ち、ライフスタイルに合わせて仕事が変化していく
「20年弱グラフィックデザイナーとして働いてきましたが、いつの間にか仕事の幅が自然と広がっていきました」と、ゆっくり話す杉本さん。2008年に葉山に移住したことが、色々なジャンルの仕事が広がるキッカケ。グラフィックデザイナー、酵素シロップ講師、ブランドのサポート、ディレクション、商品開発、PR、庭師……と、その幅の広さには驚くばかり。「すべて違う仕事ではありますが、根本はつながっている気がします。酵素シロップワークショップではシロップの色使いや器などの部分にデザインの力が発揮され、庭師の仕事ではハーブや果物に触れながら勉強ができる。ブランドサポートやディレクションも、デザイン仕事の延長線上にあります。私の中で様々なことに取り組んでいるという意識はあまりなく、色々な出合いによって徐々に広がってきて今があるんです」そして、様々な仕事をすることが、彼女にとっていいバランスを保っているそう。「酵素シロップの仕事ではワークショップなど人前に出る機会が多く、たくさんの人と接します。一方、デザインは家仕事で、誰とも話さずPCの前にかかりっきり。庭師は身体を使う仕事。自然の中で汗をかきながら無心で身体を使い、その時間のおかげでアイデアが浮かんだり頭の中が整理されることが多々あります。どの仕事も私にとって必要であり、それぞれの仕事に影響を与えています」各仕事がリフレッシュの時間であったり、アイデアが生まれるキッカケになったり。よい循環ができ上がっている。「何かをしよう! と動くというより、ありがたいことに、人との出会いやご縁によって仕事が広がってきました。これからも決めつけることなく、自分自身の興味やご縁の流れに乗りながら楽しく働いていけたらと思っています」
モデル田辺あゆみさんが手掛ける上質なタイシルクを使ったブランド「ari」では、
DMやタグなどのデザインや生産管理、展示会運営などを手伝っている。
グラフィックデザイナー、またはアートディレクターを
努めたときのカタログやポストカードなど。
Profile
杉本雅代:神奈川県在住のグラフィックデザイナー。カタログやWeb、プロダクトデザインを手掛ける。酵素シロップ教室を各地で開催。著書『手作り酵素シロップ』(文化出版局)など。新著『続 手作り酵素シロップ もっとおいしくきれいになれる』(文化出版局)も発売中。
ベーカリーオーナー 久保輝美さん
誘われてなんとなく資格を取ったのが始まりだったという、久保さんのパン人生。今や全国的に有名な、やさしい味わいのベーグル店を訪ねた。
「ベーグルって、リングの形をしているでしょう。これは幸せの象徴なの。パンはみんなが元気になるツールなんですよ」仕込み中のベーグルから顔を上げて、久保さんは笑う。「最初は自宅でパン教室を開いていたんです。でも私自身の離婚がきっかけで会社に勤めることになるんですけど、私にはあまり向かなくて辞めました。その後カフェのキッチンで働いて、知り合いから『1カ月だけ、居抜きでお店をしないか』という話をいただいたんです。期間が短いしすごく悩んでいたんですが、見かねた友人が都内のパン屋のご夫婦に相談してくれて。その方が『やったほうがいいよ』って背中を押してくれたんです。見ず知らずの私にもそんな風に言ってくれる人がいるなら頑張ってみようって思って。1カ月、勤め上げました」
パンは人をつなぐツール。好きなものがどんどん増えていく。
「パン屋の最終日は長蛇の列ができました。貸してくれた方も『がんばったね』と言ってくださって、結局それがこれからパン屋を職業としていく上で、大きな自信になりました。この後ご縁があってベーグルのお店を持つことになり、いろんなイベントで食べてもらい、離婚した相手と再婚もして……。バタバタした人生ですが、私は会社員のころよりずっと楽しいです。今は週に3、4日ほどお店を開き、その他の日は地方のイベントなどに行っています。そこで知り合った作家さんの展示をお店で開いたり、札幌が好きになって向こうに部屋を借りたりとか、思うようにしています(笑)。好きなことが増えて、好きなことをして、それに共感してくれる仲間がいて、最高! この先も自分の手の届く範囲でお店を続け、周りの方に幸せを還元していきたいですね」
ベーグルは定番プラス季節のフルーツを練り込んだもので、
基本はクリームチーズベース。30ほどのレパートリーがある。
イベントがない日は、13時のオープンまでに
予約分と、店頭用の30~50個分を焼く。
Profile
久保輝美:埼玉市浦和区のアトリエで、ベーグルの販売やパン教室、作家を招いたワークショップ、企画展などを行う。やわらかなベーグルと人柄が愛され、出張販売や教室、イベントのため毎月全国を飛び回っている。
kuboぱん
住所:埼玉県さいたま市浦和区岸町3-14-11
HP:https://kubopan88.exblog.jp
フードコーディネーター 志津野倫子さん
ウエディング、ケータリング、逗子映画祭……、彼女達が作る食事はいたるところで人を幸せにしている。作る彼女自身が笑顔でとても幸せそうだからこそ、生まれる味。
テーブルを囲む人たちの笑顔が原動力に
こだわりの食材を使って様々な食をテーマに合わせて提供しているケータリングチーム「AMIGO KITCHEN」。美味しさはもちろん、デコレーションやアイデアにも独自の世界観が表れている。「心に残るのはやはりウエディング。大切な節目である一生に一度の日にお手伝いできることが嬉しく、感動はつきものです」打ち合わせ回数は規模や内容によって変化するが、人によっては1年前から打ち合わせを重ね、当日を迎えることも。「新郎、新婦と話し合いを重ねながら、ふたりの夢を作り上げていくお手伝いをできることはとても幸せ。式の2時間が永遠に続くのではと感じる瞬間があるんです。ふたりの笑顔でこちらまで幸せな気分に」嬉しそうに話す彼女が作る料理は、人を幸せにする気持ちが詰まっている。
Profile
志津野倫子:「CINEMA AMIGO」を拠点に活動するケータリングチーム「AMIGO KITCHEN」を主宰。イベント、ウエディング、撮影、レシピ提供など幅広いジャンルで活躍する。https://www.amigokitchen.com
ヨガインストラクター 若松由貴子さん
2 児の母でもある若松さんのパワーの源は、家族との日々の暮らし。全身から溢れ出す健やかなオーラが、仕事と暮らしの充実を物語っている。
心と身体のバランスを整え、ヨガの魅力を伝える
「ヨガを伝えるのが私の仕事です。そのために心がけているのは“自分自身の心と身体を整えておくこと”。毎朝のヨガで、疲れている、とにかくハッピー! 頭の中がグチャグチャ、何かひとつのことばかりを考えている……そんな“毎日違う自分の心と身体を受け入れる”作業をしています」40 歳とは思えないハツラツとしたオーラは、自分で自分を“整えている”証。仕事が詰まりすぎて心身が追いつかなくなったと感じると、勇気をもって仕事を少し控え、家で過ごす時間を増やすという。「家族と暮らすこの家が大好き! 家族の顔を思い浮かべながら晩ご飯のメニューを考えるのも、家を心地よくするための模様替えも、家事もすごく楽しいんです」この健やかで誠実な日々の暮らしが、次の仕事への準備なのだ。
Profile
若松由貴子:日本でヨガインストラクターの資格取得後、「全米ヨガアライアンスRYT200」をインドにて取得。「addidas」のヨガトレーナーを務めるほか、数々の人気ヨガ教室でレッスンを担当する。2児の母。