2018/01/19
雑然としがちなキッチンや食器棚。
雑貨や小物といったこまごましたグッズが多いスペースといったこともあり、ラックやケースを使って収納を試みるものの、うまく使えないという悩みも多いのではないでしょうか? 高さや幅、サイズが合わないなんてこともしばしば。しかし、整理収納アドバイザー柳沢小実さんの自宅を訪ねると、必要なツール達がきちんと揃って出番を待つスッキリとした空間が。使うものを使う場所の近くに置く、物を減らす、見やすさを意識したしまい方。一体どのようにまとめているのでしょう!? キッチンや食器棚の収納のヒントをチェックしてみましょう。
使う場所の近くにしまう、を意識
これまで築40年以上のマンションばかりに住んできた柳沢小実さんが、都内に一戸建てを新築し、引越したのは2017年9月半ばのこと。インテリアも収納もまだ試行錯誤中だと言うものの、柳沢さんらしい、洗練されているのに気取らず、温かみのある空間は健在だ。
「ずっと味のある古い家が好きだったけれど、住んでみたら新築の家もちっとも悪くないですね。設備が最新だとやっぱり快適だし、新築にヴィンテージって意外に合うんです」
なかでも、整理収納アドバイザーの資格を持つ柳沢さんの本領が発揮されているのが、面積あたりの物の量が多くなりがちなキッチン。どんなに仕事が忙しくても、料理する気持ちが高まり、見た目も使い勝手も良いキッチンを目指したそう。
「収納の考え方は何も変わっていません。水の周りで使うものはシンクの近く、火の周りで使うものはコンロの近くというふうに分け、使用頻度でさらに分ける。あとはどこに何があるのか見やすくしまうことです」
また、吊り戸棚がないなど、収納スペースが以前より少なくなったため、道具や食器はこれを機に1割ほどを手放した。「やっぱり物は少なくしたほうが使いやすさが増すし、なにより掃除が楽になりますね」
少しでも物を減らす意識を持ち、収納の工夫をすることで、見た目も使い勝手もどんどん良くなっていく。
そうして料理が楽しくなれば、家の居心地も増していく。活躍する道具を残す、そうした小さな心がけと工夫こそが大切なのだ。
そうは言っても、道具や食器は増えていくばかり。そんな声が聞こえてきそうですが、柳沢さんは最近〝物の間引き〞を試しているのだとか。あまり使っていないグッズを、期間を決めて取り分けるのだ。スペースが限られているのなら、生活に合ったものを手元に置いておこうということ。これなら断捨離よりも気軽にできそう。
「別に捨てなくていいんです。しばらく外してみて、なくて問題なければそのまま。あったほうがいいとなったら戻せばいい。そうすると自然に必要な物が残っていくんじゃないかな」
無印良品で揃えたボトル類は水切りプレートにかけてぶら下げ収納に。
スペースを取らず、シンクに直に置くより清潔
壁面の棚には趣味の茶器や茶筒を並べて
よく使うカップはしまわずにシンクのそばに置いておくと便利。
手元を照らすライトは大阪の照明メーカー「flame」のもの
シンクや調理台周りによく使うグッズや食器が並んでいるが、並べる物に統一感があり、まとまっているのがわかる。まさにマネしたい見せる収納だ。
料理が楽しくなる引き出しの工夫
作業台で使う一軍の道具たち。
毎日使うものだからこそ、スペースをうまく使って便利で使いやすく。道具のしまう場所をしっかりと決めておけば、調理の最中でもパッと簡単に探し出すことができてイライラも解消。調理時間が一層楽しくなる。すべての道具が上から見渡せるように並べると、出し入れがしやすくなっておすすめ。
日常的に使うカトラリーは手前に、それ以外は奥にしまうと見た目もすっきり
コンロすぐ横の引き出しは、さっと取り出しやすいよう
スパイスや調味料入れに活用
かさばるお盆や鍋のふたは一番下の大きな引き出しへ。
ビン系の調味料もここにまとめる。
キッチンスペースは、暮らし上手の皆様にとって毎日使う大事な空間。だからこそ、収納の仕方ひとつで使い勝手が大きく変わってきます。見せてもいい収納、わかりやすく整理整頓されている引出し、効率よく家事ができる工夫をすることで、キッチンというスペースがもっと心地よく落ち着く空間になるはずです。
取り出しやすい食器棚のコツはスタッキングしやすい食器選び
続いては、食器棚を拝見。やはりここでも、毎日使うことをイメージしていることが伺える。
取り出しやすいこと、増やさないことがきちんと考慮されているのだ。
スタッキングのしやすさは、器を選ぶ重要な基準。
家が狭い人は、引き戸かオープンタイプの食器棚がおすすめ。
広々した明るいリビングをきゅっと引き締めてくれるのがふたつのアンティークの食器棚。
「新築とヴィンテージは意外と合う」という柳沢さんの言葉を実感する佇まいだ。
「食器を入れている棚、実はふたつとも、食器棚じゃなくてブックシェルフなんですよ」
すっかり食器棚だと思っていたら、ふいにそう言われて驚いた。
どうしてそんな使い方を思いついたのだろう?
「一般的な食器棚は奥行きが深いので、どうしても物の後ろに物がある状態になります。それが使いづらそうで、奥行きの浅い棚がほしいと思っていました。ブックシェルフなら、引っ越した先に作り付けの食器棚があっても、本棚としてずっと使えるからいいなと思ったんです」
なるほど、柳沢さんの食器棚がおしゃれなだけではなく、実用的な存在感も示していたのは、そういうことだった。
食器の並べ方にもコツがあるようだ。柳沢さんの食器棚の観音開きの扉は右側からしか開かないため、取り出しやすいよう、右側に使用頻度の高い食器を並べている。また、大きな器から小さな器へと美しくスタッキングされている様子も目を引く。購入する際にスタッキングのしやすさを考慮しているからこそできることだ。
「経験として、きちんと重ならず、しまいにくい器は、結局持て余して使わなくなります。だから、収納に手こずりそうな器は気に入っても買いませんね」
食器棚とキッチンの引き出しには、吟味して揃えた器が並んでいる。ずっと使い続けられる器ばかりが、出番を待ち、定位置でそっと息を潜めている。
台湾茶や中国茶が大好きな柳沢さん。
今回の引越しの際には道具や器の断捨離をかなり進めたものの
「趣味のものは全部残す」と決めたそう。
なんと、急須だけで20個(!)もあるのだとか。
夜にゆっくりお茶を飲む時には、台湾や香港で購入したお気に入りの茶器を使う。
アンティークのグラスやカップを収納。
外から見えない最下段はレシピ本がびっしり。
見せる部分と見せない部分をうまく使い分けている
毎日使う食器棚もきれいに整頓しておきたい場所。
しかし、大きさも柄も違う食器をおしゃれに収納にするのは難しい、そうハードルを上げていませんでしたか? どんどん溜まっていくお気に入りの食器や普段使いの食器の定位置を決めてあげて、いつも気持ちよい状態にしてあげることで見た目にも美しくなります。さらに、食器を購入する前に、食器棚にどう収納しようかと一度じっくり考えることで、余計な出費も抑えられます。収納しやすい食器を選ぶのも、使いやすい食器棚にしていくコツなのです。
いかがでしたか?
スッキリと片づけられたキッチンは誰もが憧れるもの。
柳沢さんのキッチンには、毎日の家事が楽しくなる収納術が詰まっていました。
ポイントは、見せる収納と使える収納のバランス。水の周りで使うものはシンクの近く、火の周りで使うものはコンロの近くといった、使用頻度で収納スペースを分けるのがおすすめ。バラつきがちな調味料や調理器具にも定位置を作ってあげて、引き出しの中もスッキリと。それぞれの収納ルールをきちんと決めるのが、使いやすいキッチンの秘訣なのです。